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気づきの後に空を見上げる

 一般的には、6月末、あるいは7月に入ると、それまで湛水状態にしていた田んぼから、水が落とされます。田んぼは通常、手前側が用水路となっていて、一枚の田んぼの何カ所かから水を入れます。向こう側は排水路で、そちらにも何カ所か口を作り、水を落とし(排出)ます。

 落水と相前後して、溝切りという作業をします。田んぼが良く乾くように、落水とその後の入水が順調にいくように、その他いくつかの理由で、田んぼに何本もの溝を作るのです。ちょうどこの作業をする頃、田んぼの中や周辺の生きものの変化に気付くことがあります。赤トンボがどんどん減っているのはここ数年のことですが、今年はアマガエルの減少も目立ちました。代かきやその後の田植えの頃、夜のカエルの大合唱は、いつも通りだなと思っていたのでしたが、いざ草刈りなどを始めてみると、あんなにいたカエルがどうして、と思えるほどに激減しているのです。その一方で、ヘビは増えています(たぶん、ですが)。カエルが減ったのと関係があるでしょうか? パクリ。

 ヘビの話はあとでまた書きますが、溝切りの後、ヒタヒタの状態から無水になります。かろうじて溝や足跡のくぼみに残った水も、好天が続くことによって、土の割れ目から浸透したり蒸発したりします。卵から孵ったオタマジャクシが、何とかカエルの形になっていれば、水が無くとも生きながらえますが、間に合わなかったものたちは、気の毒なことに死んでしまいます。今年は溝切りの前にまとまった雨が降り、用水路がいっぱいになったことがありました、その時にまぎれこんでいたのでしょうか。作業の最中に、小鮒を何匹か目にしました。これらも田んぼの中の水が少なくなったことで死んでいました。そんな中で、たまたま凡夫の目に留まったのが2匹。急いですくい上げて家まで走り、苦しそうに口をパクパクしているのをバケツに入れました。透明なバケツではなかったので、うれしそうな横顔を見ることはできませんでしたが(笑)、そのなかをゆっくり泳いでいる姿を上から見るのは、心和むことでした。一匹は鮒で、もう一匹は鯉。たばこの長さくらいもない、小さなかわいい2匹でした。

  一面真っ平に見える田んぼも、一枚の田んぼの中では、数cmの高低差があるのが普通です。当然のことながら高いところから早く水が無くなり、極端な話、わずか数十cmの場所の違いで生と死が混在しているのですが、やがては低いところも、小魚やオタマジャクシが生きながらえるには無理なほどの状況になります。そのことに、生きものたちは気付いているのでしょうか?「あはれといふもなかなかおろかなり」です。でも、人間だって似たようなもの。いや、自分だって気付いていません。朝の紅顔が、今は白骨の手前となっているのに(苦笑)。
                                          (お米の便り7月号より抜粋)

 夏至から約一ヶ月が過ぎました。昼が短くなってきていることを、ほとんどの植物たちは感じているはずです。




柿の木

 自宅前の畑に植えた二本の柿の木に、実が付いたのは6月のこと。今年4年目となった一本には鈴なりに付きました。まだ小さな木です。昨年は初めて1個が付いたものの、大きくなる前に自然落果してしまいました。それが今年は鈴なり。こんなに付いて、木は大丈夫だろうかと心配になるほどです。

 もう一本には7個を確認できました。実が小さいのに葉が繁っているので、その時によって、見つかったり見つからなかったりです。重複して数えているのか、もしかすればもう1個くらいは多くあるのかもしれません。この木は、苗木を買ってからずいぶん経ったもので、順調に育っていれば今よりもっと大きくなっていたはずでした。いろいろ、紆余曲折があって、三度も場所が変わったのです。かわいそうなことをしてしまった分、生長がとても気になります。

 実が付き出してから特に、毎日のように木の様子を見ます(畑の中にあるので、そこには必ず行くのです)。木の周りを歩きながら見ていると、自分が昔話「さるかに合戦」のかにのように思えてきて、何だか可笑しくなります。近所の、自分のことが見えている人たちからも、可笑しく見えるかもしれないななどと思ったりします。
 ここ数日、鈴なりだった実のいくつかが自然落果しました。ホッとしながらも、あらーもったいないななどと思い、欲張りなんですね(笑)。もう一本の方は、1個も落果しませんようにと願っているところです。

 一日の仕事が終わった夕暮れ、生長している作物の様子を何となく見ることは、こころが落ち着きます。


 こころは複雑です。誰でもそうなんだろうか。きっとそうだとしても、ひとそれぞれの程度があるだろうから、分かり合うのは難しいのかもしれません。難しいかもしれないけれど、「難しい」ということに気付いていることはとても大事なように思えます。


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